『虚之杜』社務所より

situation started:2017/07/09 restarted:2019/10/28

愛銃に慣れない

 いや、愛していると言える程には使い込んではいないのだが。
 マルシン製モデルガン、M9ドルフィン・ヘビーウエイト。「オートならガバ最初に持っとけ」という金言を無視して買ってからそろそろ1年になる。カートリッジも結局15発は手元にあるのでマガジンを一杯に出来る様になった。
 発火は僅かに数度。オートなので音は小さいのだが、休みの日はついだらけて何もしないまま夜が来てしまっている。とは言えリボルバーもチーフスを数度ぶっ放しただけなので、結局モデルガンの発火という行為それ自体が全く出来ていない。SAAに至っては未発火のまま手慰みにふらふらくるくると不格好な回転をやらされているだけだ。
 おかげで鉄砲を持った時に必要な所作が全く身に付かない。辛うじてグリップとエイムは出来るがそれでも手が小さい為に肉厚なダブルカラムを握るとどうしても親指がオフセット気味になってしまう。効き目が左なので右手で持つとプッシュ&プルが不格好な力の入れ方になるのも問題だ。
 しかし、最大の問題は分解した時にある。モデルガンは発火したら手入れが必須と言っても過言ではない。花火のちゃちいのレベルではあるが火薬を使う玩具であり、金属やら樹脂やらがその力とバネの力でガツンガツンと動くのだから、あちこちに擦れ跡が出来たり燃焼カスがついたりする。その洗浄・清掃の過程で分解は当然必要になり、そしてその手順が実銃のそれとほぼ同一である事がモデルガンの醍醐味なのだが、これがすこぶる苦手なのだ。分解するまでは良い。分解し、再結合するのがうまくいかない。
 バレルとリコイルスプリング、スプリングガイドをスライドに押し込む。その後、スライドをフレームに差し込む最後の一手が決まらない。スライドが戻り切らず、故にテイクダウンレバーが回せないのだ。あちこちのブログやらサイトやらでは「バレルを押し込みつつ回せば元に戻せる」などと書いちゃいるが、それが出来たら苦労はせんのだ。
 扱いの簡便さからリボルバーばかりに手が伸び、そしてたまにはオートも触らんとな……と手を伸ばしては悪戦苦闘の泥沼にもつれ込む。エキストラクタに備えられているローディングインジケータで確認すればよかろうものを、わざわざスライドを少しだけ引いてカートリッジの金色の輝きを視認したくなる。バレルのショートリコイルが始まるか始まらないかのギリギリまでスライドを引き、ちらりと視線を落とし、そこに真鍮の光が自己主張するのを認めれば、手を離してしっかりと撃発準備を整え……られない。たまに閉鎖が不完全となる。
 スライドの動きが悪いだけだと思いたい。シリコンを吹いてひたすらスライドをがちゃがちゃやる日が続く。