『虚之杜』社務所より

situation started:2017/07/09 restarted:2019/10/28

木村森尾は「何」を作るのか。

 結局あの後になってからあんなのこんなのこういうのを作った。2020年内の完成品は恐らくこれで終いだろう。手が遅くアイデアにも乏しいクセして展覧会にも参加するなど、過分ですらある大健闘の年だ。

 

 振り返ってみれば、3機全てについて所謂「俺設定」を付属させて手を動かしていた。それは手抜き工作の言い訳でもあり、逆に工作難易度を上げたりしていたが、しかし一本芯になるコンセプトを定めての製作は日頃の疲労や生来の怠惰に苦しめられながらもゴールまできちんと辿り着く為の大きな推進力となった。
 特に開催決定・お題発表から作品提出〆切まで1ヶ月強しか猶予のなかった展覧会への出展が滑り込みで間に合ったのは、次々に購入・投入したツール類や連日の深夜までの作業もさることながら迷走を極力避けられたのが最大の理由だろう。勿論、輝度るみな氏主催で毎週開催されているTwitterタグとYouTubeライブとの連動企画「#みんなで作るみな」への参加や友人・黒井哲也氏とのDiscordチャット・通話などで日々のモチベーション維持(と言うよりは尻叩きに近いか?)に努められたのも確かだ。
 基本的に木村森尾なる人間は偏屈と怠惰のごった煮であり、自分独りで作業となると早々に飽きて投げ出したりする事は決して珍しい事ではないのだが、そこに他者、特に自分とはあまり見知らぬ人が介在する事で改めて背筋が伸びた。リアルタイムでのインタラクティビティを持った時空間にお邪魔して他者に認知してもらい、提示された作品に対して相互に素直な感想を言い合うという経験が自分にとっては新鮮であり、かつモチベーションを大いに高める原動力として機能するものであった。

 実のところ、当初は企画に参加するかどうかをかなり悩んでいた。この企画に先に参加していたのは黒井氏であったのだが、自分はこういう性格であり手も遅く、かつ既に友人がのびのびと楽しんでいるコミュニティに自分までついていってしまっては何だか金魚の糞じみていて迷惑ではなかろうかという思いがあったからだ。何でもかんでも他人について回って生じる鬱陶しさについては自分自身に心当たりがある問題であったので、妙なリアリティを持って勝手に問題視してしまっていた。
 で、現状はと言えば、特段に問題が表層化していないのでちゃっかりと居座っている。そもそもとして友人同士ならばこそ嫌な事は嫌と言える間柄なのだろうし、そういう所はもう少し他人を信用すべきであった。

 そろそろ自分もいい年である。自分の中の「子供っぽさ」を上手く飼い慣らし、大人としての分別も弁えた上で、趣味事には楽しく打ち込んでいきたい。